2017-08

     本日の一言 : スマッシュブラザーズを空いた時間にやってます。ゲッコウガとロゼッタ使ってます。
     ☆仮面ライダーアルズ 第5話 デルザー軍団編 開始! 大好評 新規公開中!! 「かっと燃えるぜ正義の心
     【次回情報】 次回チャットライブは未定です。
     【出演情報】 30日(火)ハチベサさん主催 「ねるとん」 出演! 23:00- ガタラ採掘地区6759
     NEW!! 9月22日(月) ブログ記事更新!! 「今宵は大道芸語り+ヌンチャクさんの花火大会+はじめてのグラコス レポ

Latest Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

仮面ライダーアルズ 第4話 僕の胸に生きている

注:この小説は創作小説です。現存する団体とは一切関係がありません。

バックナンバーは「こちら」から! もしくは、サイドバーのリンクからどうぞ!



仮面ライダーアルズ
……Masked Rider Al-z

o0350053912859023263.jpg

第4話 「僕の胸に生きている」

悪の秘密組織ブラックサタンによって親友を殺された城茂は!
自らブラックサタンに改造され電気人間となった!!
そして脳改造を逃れた後、ブラックサタンに復讐を誓った!!

――「仮面ライダーストロンガー」より




「リチャード・グラース……三十五歳。先日の自爆テロに巻き込まれた、海兵か……」

資料に目を通しながら、彼……城茂は呟くように言った。

三十代後半程の男性だった。

その顔は彫りが深く、どこか年季の入った影を感じさせる。

彼の視線が、資料の一点に留まった。

城はニヤ、と小さく笑うと、資料を閉じて、テーブルに放った。

「趣味は海兵隊のアメフト部での活動か……」

「ジョー司令、このままではリチャードはまもなく息を引き取ります。許可を」

長机を囲むようにして、胸に勲章をつけた男たちが座っている。

その内の一人に言われ、城は黙って腕を頭の後ろに回し、ギィ……と椅子の背もたれに体を預けた。

そして長い足を伸ばし、重低音を立ててテーブルに両方を乗せる。

「本人の強い希望もあり、すぐにでも改造手術ができる準備が整っています」

「今回の施術では、人体の九十二パーセントを生体機械に置き換えます。体内には小型原子炉を内蔵。リチャード・グラースの精神力ならば、改造手術に耐えうると見た末での結論です」

もう一人の男が口を開くと、その向かい側の男も、答えようとしない城に向けて言った。

「ご決断を。人体の六十五%以上の改造をするには、我が部隊の司令官である、あなたの許可が必要です」

城の着ている軍服には、多数の星がついた勲章が取り付けられていた。

それが天井の蛍光灯の光を浴びて、キラリと光る。

そこでドアがバシン、と開き、手術服を着た医者と思われる者が駆け込んできた。

彼は一度敬礼の姿勢を取ると、引きつった声を発した。

「報告します! リチャード・グラースの容態が急変しました! 意識混濁状態から、昏睡状態に! バイタル、危険値を示しています! 危篤です!」

「司令!」

男の一人が、掴みかからんばかりの勢いで、あらぬ方向を向いて口笛を吹いている城に向けて怒鳴った。

「真面目に聞いてください!」

「真面目? 俺はいつでもシリアスだぜ」

口笛を止め、彼は足を翻して床に立った。

そしてズボンのポケットに、手袋をした手を突っ込んで、背中を若干丸めて歩き出す。

「いいね、すごくいい」

「…………?」

疑問符を浮かべた周囲を見回し、彼はクックと喉を鳴らした。

「俺はその、リチャード・グラースという隊員のことは、データ上でしか知らない。お前らが持ってきた資料でしか、そいつの人格を図ることは出来ない。だから、お前らの言葉を信用しないわけじゃないが……全て鵜呑みにする訳にはいかないってのは、理解できるな?」

自分たちより、少なくとも「外見」は若い姿をしている城の言葉に、男たちが押し黙る。

「俺は、改造人間を増やすプロジェクトには反対だ。そうでなくても、俺達軍の兵士は、大体、体の何処かを改造してる。ギリギリ人間と呼べるラインの奴もいる。まぁ……確かに、お前らが戦力増強、技術向上のためにモルモットが欲しいってのを、俺は否定しないよ。科学部の、当たり前の要求だからな」

「ジョー司令、その実験を受けると、初めて完全了承したクランケが今死にかけている。話している時間は……」

手をあげて、発言した男性の言葉を打ち消し、城は続けた。

「だが……いいなぁ」

「何が……?」

「アメフトだよ」

男性の方を向いて、城は青年のような、明るい笑顔でニィと笑った。

「アメフト選手に悪い奴はいねぇ。最も、大抵の奴らが脳みそまで筋肉で出来てやがるから、アホだがな。いいぜ。やりな」

「許可が出たぞ! 直ちに施術に移れ!」

間髪をいれずに、別の男性が声を張り上げる。

医師は敬礼の姿勢を解いて、慌てて隣の部屋に消えた。

城はそちらを一瞥してから、ポケットからタバコの箱を取り出し、息をついた。

そして一本抜いて口にくわえる。

彼がタバコの先端で、パチン、と手袋の指を鳴らすと、軽くその場に青白い放電が走った。

それにより火がついたタバコの煙を吸って、思い切り吐き出した彼に、軍人の一人が顔をしかめて言う。

「ジョー司令、ここは禁煙です」

「知るか。俺は吸いたい時に吸いたい場所で吸うんだよ」

彼は意に介さず、といった具合で壁に背を預けると、またタバコの煙を吐き出した。

「USシティに駐屯してる国連軍が有する、初めての『パーフェクト・サイボーグ計画』だ。てめぇら、しくじったらぶっ殺すぞ」

あながち冗談ともつかない口調で、城が言う。

周囲に緊張感を含んだ張り詰めた空気が走った。

その中心にいる城は、しかし大きく伸びをすると、タバコの吸い殻を床に捨てて、足でグリグリと踏みしめた。

高価そうな絨毯に焼け焦げが広がる。

「俺は……寝るわ」



――やめて! お母さんに手出しをしないで!

手を、止めてしまった。

罠だとは頭のどこかで分かっていた。

反政府ゲリラのアジトに突入したリチャードが見たものは、今にも死にそうな程の拷問を受けた形跡がある女性と、物陰から飛び出してきた少年だった。

少年の言葉に、思わず動きを止めてしまったのだった。

目に何が映ろうとも、感情を殺し駆逐する。

それが自分の使命であり、仕事だ。

それが軍であり、そこには一個人としての感傷は全く必要ない。

分かっていた。

分かっていたはずだった。

真っ先に突入した先頭の自分が行動を起こさなければ、事態は最悪の結果をたどってしまう。

そんなことは、分かりきっていたはずだった。

しかし特殊警棒を持った手が震え、意図せぬ子供の出現。

声。

そして、血まみれの女性を見て、リチャードはその場に立ち尽くしてしまったのだった。

女性が、その一瞬を逃さないとばかりに立ち上がり、手に持った手榴弾のピンを抜いた。

待て。

そういう暇もなかった。

「どうしたリチャード!」

同僚たちが走ってくる。

来るな!

声が出ない。

逃げろ!

早く!

あたりを、閃光が包んだ。



軍兵士の死者十五人。

負傷者多数。

リチャードが潜入した部屋には、各所に爆薬が設置されていた。

その誘爆に巻き込まれて、彼の小隊は壊滅状態に陥ってしまった。

彼自身も、死に至る傷を負い、幾ばくもない命の中、思考する。

あれは罠だった。

それは分かっていた。

拷問を受けた傷も、おそらくフェイク。

自分達兵士を欺くための偽装だ。

元々生き残りには期待していなかった。

それに、あの女性はおそらくゲリラ側の人間だ。

人質ではない。

人質は全員救出した後の話だから、断言できる。

しかし……。

子供。

あの存在が、リチャードの動きを止めたのだった。

――やめて! お母さんに手出しをしないで!

声。

それが頭の中で幾重にも反響する。

あの子供も、フェイクだったのだろうか。



体中に点滴が刺され、鼻や喉に呼吸器が取り付けられた状態で、リチャードは歪む視界を無理やりあけた。

焼けるように体全体に激痛が走っている。

熱に浮かされ、手足が痺れ、激痛以外の感覚がない。

音が聞こえない。

声も出せない。

焼け焦げた皮膚から血が滴っているのが見えた。

手術台のようなところに寝かされていた。

他数の医師達が自分を取り囲んでいる。

リチャードはそれを見た瞬間、グルリと視界が暗転して意識を失った。



夢の中で、彼は真っ白いどこまでも広がる、何もない空間に立っていた。

白くまぶしすぎて、自分の体さえも見えない。

それは地面なのか、それとも自分は浮いているのか。

それさえも分からない。

少しして彼は、自分のすぐ脇に小さなテレビが置いてあることに気がついた。

それだけ白くなく、はっきりと見える。

リチャードはしゃがみこんでテレビのスイッチを入れた。

電源などどこからとっているのか分からないが、ブツリと音がして、古ぼけたブラウン管に医師の顔が映し出される。

マスクとゴーグルに隠れ、素顔が見えない。

「リチャード・グラース中尉。聞こえるかね? 今君の深層意識に、直接交信を送っている」

「あんたは……俺は、どうしたんだ……?」

「私が誰かなどどうでもいい。記憶が混濁しているようだな。現実の君のバイタルも微弱になってきた。もう保たない。率直に言おう。このままでは君は死ぬ」

「どういうことだ……?」

「反政府ゲリラの自爆テロに巻き込まれたと聞いている。体表の六十パーセントに熱傷を確認。外傷も多数。君の『体』は、もう使い物にはならない」

「…………」

唖然として、リチャードは言葉を失った。

全てを滝の流れのように思い出す。

そうだ、自分は。

自分のせいで、沢山の仲間を犠牲にして。

そして、作戦は……失敗したんだ。

「俺は……死ぬのか……」

絞りだすように声を発すると、医師は静かに言った。

「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」

「……意味がわからないな。何を言っている?」

「君には選択する自由がある。このまま何も知らずに死ぬか、それとも、地獄を見ながらも『生き残る』道を選ぶか。私からはどちらかを与えることは出来ない。君が選ぶのだ」

「地獄を……?」

リチャードは両拳を握りしめ、歯を噛んだ。

「地獄ならさっき見てきた! 嫌という程な! 俺は……俺は!」

膝をつき、彼は拳を地面に叩き付けた。

「最低だ……!」

「時間がない。選ぶのだ、中尉。私は嘘偽りは言っていない。このままでは君は確実に死ぬ」

「死ぬか生きるか、選択しろっていうのか……」

「そうだ」

しばらく沈黙して、リチャードは口を開いた。

「……改造人間計画だな?」

「…………」

黙り込んだ医師に、歯を噛んで彼は続けた。

「その被験体に俺を選んだんだな! 答えろ!」

「……その通りだ。軍は君を生かす代わりに、改造人間計画の被験体にしようとしている。しかしそのためには本人の了承が必要だ。だから危険を冒してまで、意識野の最下層まで交信を飛ばしている」

「改造人間……俺が……」

リチャードの脳裏に、天使のように笑う赤ん坊の姿がフラッシュバックする。

そして、それを抱く女性。

握り拳を作り、彼は叫んだ。

「何故俺なんだ! 何故今更! 何故!」

「それを話す権利を私は持っていない。選ぶのだ中尉。悠長に話している時間はない」

「くっ……」

彼は言葉を飲み込み、そして目を閉じた。

しばらくしてふーっ、と息を吐きだして、リチャードは言った。

「……俺はまだ死ねない。死ぬ訳にはいかない。だから、実験にでもなんでも付き合ってやる。どうせ死ぬ命だ。好きに使うがいい」

「完全了承ととっていいのだな? 意識の最下層の返答は、嘘偽りのないものと記録される。それでもいいな?」

「…………当然だ!」

雄叫びを上げて、リチャードは拳をテレビに叩き付けた。

グシャリとテレビが崩れたケーキのように潰れ、あたりを白い光が包む。

そこでリチャードの意識は、光に飲み込まれて消えた。



その施設が、異様な集団に襲撃されたのは、リチャードの意識と何者かが交信した、数日後のことだった。

『ジョー司令! この駐屯基地が、アンノウンに襲撃されています! 敵の数不明! た、太刀打ちできませ……うわああ!』

ザザッ……と通信機の向こうからノイズが聞こえ、交信が途切れる。

城はそれを聞き、重苦しい顔で周囲を見回した。

駐屯基地の作戦会議室には、軍人達が集まっていた。

「今から五分前の通信だ。何か強力な、正体不明の敵にここは襲われている」

城がそう言うと、周囲の一同がゴクリと唾を飲んだ。

「目的はおそらく、リチャード・グラースの『破壊』だ。何としても阻止する。全戦力を投入して、叩け」

バサッ、と軍服を翻し、城は立ち上がった。

「ジョー司令、どこに?」

「俺も出る」

問いかけてきた軍人にそう返し、城は歯を噛んで続けた。

「この感覚……もし俺の考えていることが、外れではなければ、お前達では相手にならん」

「しかし……」

「死にたい奴はついてこい! 死にたくない奴は隅でヒィヒィ震えてろ!」

パンッ、と手袋をつけた拳を打ち鳴らし、城は大股で歩き出した。



「増援はまだなのか!」

「ひぃい! 誰かあ!」

困惑の声と絶叫が、燃え盛る駐屯基地の建物内に響いていた。

黒尽くめのボディスーツとヘルメットを被った軍兵士達が、一気に吹き飛ばされ、反対側の壁に折り重なってぶつかる。

「素直に被験体の居場所を吐けェ……でないと」

押し殺したようなくぐもった声が、あたりに響いた。

絶叫を上げて足をバタバタ振っている兵士の一人、そのヘルメットを掴んで持ち上げた、身長ニメートルを超える巨体の男は、クックと喉を鳴らして笑った。

「こうなる」

バキィッ! と重く低い嫌な音があたりに響いた。

粉々になったヘルメットの奥から、断末魔の表情で即死した兵士の顔が覗く。

それを脇にドチャリと放り、男は足を鳴らして一歩を踏み出した。

人間ではない。

それが一目で分かるほどの、異様な姿だった。

ニメートルを軽く超えている身長。

銀光りする鎧を着込んでいる。

手には、まるで重機のような、人間一人分程の大きさがある、巨大な鉄球を持っている。

銀光りする鎧に炎を反射させながら、彼はまたズゥン、と鈍重そうに足を踏み出した。

「退避だ! 退避ィ!」

「下がれ! 下がれ!」

兵士達が鎧男に背を向け、一斉にその場を離脱しようとする。

「人の話を……聞けィ!」

鎧男は、鎖がついた鉄球を振りかぶると、まるで玩具を投げるように勢い良く片手で放った。

衝撃波と轟音をまとった鉄球が、逃げようとしていた兵士達に突き刺さった。

絶叫と断末魔の声が周囲に響き渡る。

「チィ……どいつもこいつも脆すぎる。折角襲撃の一番手を引いたってのに、これじゃ時間が来ちまうな……」

兵士達の屍を踏みしめて、男は更に奥へと進み始めた。

「どこだ……『被験体』は……」

兜の奥の目を怪しく赤く光らせながら、彼は足を進めようとし……そこで動きを止めた。

軍服を翻し、ポケットに両手を突っ込んだ姿勢で、城が少し離れた通路に立っていたからだった。

「……鋼鉄参謀か。久しぶりだな」

吐き捨てるように城がそう言う。

鋼鉄参謀と呼ばれた怪人は、それを聞いて動きを止めた。

そして数秒間沈黙した後、あたりをつんざくように笑い声を上げた。

「カァーカッカッカ! まさかここで貴様に会えるとはな! そうか! そういうことだったのか!」

「…………」

「俺に組み込まれたDNAがさっきからざわつくと思っていたんだ。何だそういうことか。貴様か……『俺を殺した』仮面ライダーだな?」

「どういうことだ……?」

「さぁな! だが俺の中の怨念が、貴様が敵だって喚くんでな! 殺らせてもらう!」

鉄球を振りかぶった鋼鉄参謀を見て、城は両手の手袋を脱ぎ捨てた。

そこから出てきたのは、コイル状になった機械の腕だった。

「変身ッ!」

彼は腕を振り上げると、両手のコイルを擦るように勢い良く打ち当てた。

「ストロンガー!」

電気が、あたりに走った。

「グゥ……!」

眩しすぎる強烈な放電に、鋼鉄参謀が思わず動きを止めて、片手で目を覆う。

「これが……コードネーム『仮面ライダーストロンガー』か……!」

放電が収まった通路で、周囲が真っ黒に焼け焦げている中、その中心に立った男を見て、鋼鉄参謀は重苦しく呟いた。

そして楽しそうに笑う。

「クク……貴様は脆くなさそうだ」

放電の中心に、異形の姿が立っていた。

緑の巨大な目。

カブトムシのような角。

白いマフラー。

アメフト選手のような、筋骨隆々としたボディアーマー。

彼は構えを鋼鉄参謀に向けてとると、静かに、通る声で言った。

「天が呼ぶ……地が呼ぶ、人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ!」

腕を振り上げ、彼は床を蹴って一瞬で鋼鉄参謀に肉薄した。

「俺は正義の戦士! 仮面ライダー! ストロンガー!」

バチバチバチと音を立てて、彼の固めた拳に青白い放電が走る。

アッパーカットの要領で放たれたそれがかすった床が、真っ黒に焦げた軌跡を作り出す。

「電ンン! パンチィ!」

「チィ!」

拳を、鋼鉄参謀は鉄球を持ち上げてそれで受けた。

打ちあたった城の拳が、半ばまで巨大な鉄球にめり込んだ。

まるで、バターのように鉄の塊に肘まで突き刺さる。

「エレクトロ! サンダー!」

そのまま城は叫んだ。

彼の体が、一瞬周囲を灼く程に真っ白に発光した。

凄まじい放電が周囲に走り、それは鉄球を伝い、地面を伝い、鋼鉄参謀に襲いかかった。

「ククク……」

しかし鋼鉄参謀は不気味に笑うと、押し殺した声で言った。

「忘れたか! 電気返しの恐怖を!」

彼の体に吸い込まれた白い電流が、逆流して城に向けて放ち返された……と思った瞬間。

「ダブルエレクトロ……サンダー!」

城はそう叫んで、更に強い放電を体から放った。

それは逆流しようとしていた電気を飲み込み、一気に鋼鉄参謀に突き刺さり、吸い込まれて炸裂した。

「がああああ!」

絶叫が辺りに響き渡り、鋼鉄参謀は体の各部から白い煙を上げながら、片膝をその場についた。

城は腕に突き刺さった鉄球を、片手で持ち上げると、横に振って捨てた。

ズゥゥン……とそれが壁を倒壊させて、真っ黒に焦げた床にめり込む。

「てめぇの弱点は、一度戦った相手だからな。知ってるぜ。反射できる電撃には許容量がある。分析以上の電撃をぶつければ、それを破れるって寸法だ。てめぇのデータは古い俺だ。進化した今とは違う。鋼鉄参謀。蘇ったところを悪いが、速攻で決めさせてもらう」

「ククク……」

しかし鋼鉄参謀は、膝をついたままいやらしい声で笑った。

「愚かなり仮面ライダーストロンガー。貴様が進化したように、俺達も変化しているのだ!」

「……何?」

「目的のためなら! 手段は選ばん! それが今の我ら! デルザー軍団よ!」

城がそこで反射的に床を蹴り、飛び上がる。

今まで彼がいた場所を、刃のように何かが通りすぎた。

それはトランプだった。

トランプのカードが、スカカッ、と軽い音を立てて城が立っていた場所に突き刺さる。

「ジェネラルシャドウか!」

城が叫んだ瞬間、トランプのカードが膨れ上がり、爆弾のように爆発した。

それに煽られる形で、着地に失敗した城に、床を蹴り猛スピードで肉薄してきた鋼鉄参謀が、肩からぶつかる。

「ぬううう!」

受け身をうまく取れず、城はそのまま壁に突き刺さり、ブチ破って向こう側に抜けた。

鋼鉄参謀のタックルは止まるところなく、そのまま二枚、三枚と壁を打ち破って突き進む。

そして開けた部屋の中に飛び込んで、城は吹き飛ばされ、床をゴロゴロと転がってやっと止まった。

「ぐ……」

「ほう……これがもしや……『被験体』か?」

鋼鉄参謀が呟くように言う。

慌てて顔を上げた城の目に、逃げ惑う医師達と、手術台に寝かされている男……リチャード・グラースの姿が映った。

偶然にも、彼の手術室に到達してしまったのだ。

「何をしている! 早くリチャードを運び出せ!」

城が怒鳴る。

しかし鋼鉄参謀は、医師たちを薙ぎ払って進むと、腕を振り上げ……。

「被験体の破壊! 一番乗りだぜぇ!」

と叫んでそれを振り下ろした。

その瞬間だった。

筋骨隆々としたリチャードの腕が動き、振り降ろされた鋼鉄参謀の腕を、掴んで止めた。

「な、何ぃ!」

「……起動したか!」

城が押し殺した声で叫ぶ。

「リチャード・グラース! コード000(トリプルゼロ)だ! 変身を許可する!」

意識を感じさせない空虚な目で、リチャードが上半身を起こし、鋼鉄参謀の腕を絡み取り、横に投げ飛ばす。

「ぐああ!」

ゴロゴロと床を転がった彼の目に、ズシン、と地面にめり込むほどの……人間とは思えない重量で床に立った男、リチャードの姿が映った。

彼は空虚な瞳で、手術台の脇に置いてあった、機械が所々見えている、合金製と思われるベルトを手にとった。

そしてそれを、半裸の自分の腰に巻き付け、バチンと留める。

「コード000了承。変身します」

彼は誰に教えられたわけでもないのに、フゥゥ……と深く息を吐くと、ゆっくりと手を上げ、両手を胸の前で交差させ、叫んだ。

「変身!」

白い光が彼の体の周囲に溢れ出した。

それはまるでまとわりつくかのように、リチャードの体を包み込み……。

一瞬後、彼は異形の姿に変わっていた。

膨れ上がった上半身。

バッタのような頭部。

赤い目。

そして、背中にマントを翻し、彼は鋼鉄参謀に向けてキックボクシングの構えをとった。

「ぬう……変身を許したか! だがここで貴様は破壊させてもらう!」

鋼鉄参謀が起き上がり、肩口からリチャードに向けて突撃した。

しかし、鋼鉄参謀のタックルを受けても、リチャードの体はビクともしなかった。

彼は両手を広げて、自分を押す鋼鉄参謀の上で拳を固め、一気にそれを振り下ろした。

空気の破裂する音がして、鋼鉄参謀が床に叩きつけられ、床には放射状に打撃痕が広がった。

「お……俺は……自分は……」

リチャードが自分の手を見て、小さく呟く。

「リチャード……リチャード・グラース……中尉で、あります……」

「記憶が混濁している……チッ!」

城は呟くと、鋼鉄参謀に向けて構えを取った。

そして叫ぶ。

「チャージアップ!」

彼の胸の「S」というマークが、グルグルと回転を始める。

仮面ライダーストロンガーの体内に組み込まれた「超電子ダイナモ」の力で、二段変身をするのだ。

「S」の回転が止まり、城の体が白く輝く。

一瞬後、彼は銀色の角に、銀色のラインが入ったプロテクターを身にまとっていた。

「超電!」

城は叫ぶと、真っ白い放電が辺りに轟く中、床を蹴り、鋼鉄参謀に向けて光となった。

「ドリルゥ!」

一拍、彼の体が空中で静止し、真っ赤に発光する。

「キィィィック!」

そのまま高速に回転し、城は鋼鉄参謀の胸を貫通して、向こう側に抜け、床を数メートルも滑って止まった。

「グ……ッ! く……!」

口から青い液体を吐き出し、鋼鉄参謀は、胸に大穴が空いた状態で城に向けて振り返った。

「ククク……これで勝ったと思うなよ……ストロンガー……」

「…………」

「デルザー軍団は……不滅なり……」

仰向けに鋼鉄参謀が倒れる。

次いで、施設の中を大爆発が襲った。



「ふん……手助けをしてやったというのに、参謀は負けたか……」

駐屯基地を見下ろす形で、離れた崖に立っていた男が口を開く。

彼の周りには数人の男女が立っていた。

「あんな筋肉バカを一人で行かせるからこうなるのよ」

「次にストロンガーを倒すのはこの私だ。順番は守っていただこう」

一番最初に口を開いた男が、そう言って喉を鳴らす。

「だが今は時期ではない……時期を見て攻撃を掛ける。ここは一旦引くとしよう……」



自分よりも一回り大きなリチャードの変身体を担ぎあげた城は、彼を施設の外の地面にドサッと降ろした。

城の姿は、チャージアップをする前に戻っていた。

降ろされたリチャードは、小さく震えながら、頭を抑えていた。

そして押し殺した声を発する。

「あんたは……」

「意識が戻ったようだな。俺は城茂。名前くらいは聞いたことがあるだろう」

「ジョー……シゲル? 俺達の軍の最高司令官……」

リチャードはそう呟くと、自分の両手を広げて呟いた。

「この姿は……一体……それに、あなたのその姿も……」

「俺達は『仮面ライダー』だ。これは、正義を執行する際のユニフォームのようなものだと思えばいい」

息を吐いて、城はまだ一部が燃えている建物を見て、押し黙った。

「……デルザー軍団め……復活しやがった」

「説明して下さい! 奴らは何なんですか。俺のこの姿は! ただの改造人間手術じゃなかったのか!」

怒鳴ったリチャードを一瞥し、城は彼に向けて構えをとった。

「喚くな。若造」

「…………」

「かかって来いよ。いちいち口で説明するより、実戦の方がお前らには向いてる。それとも……」

クク……と小さく城は笑った。

「お前よりも小さい、日本野郎(ジャップ)のこの俺が怖いか?」

挑発され、リチャードは歯を噛んで立ち上がった。

「人の体を改造して……一言もないのか! あなた達は!」

怒鳴り、彼は地面を蹴って城に肉薄した。

そして腕を振り上げ、打ち下ろす。

「電ンン! パンチィ!」

バチバチと放電した腕を、城はクロスカウンターの要領でリチャードの顔面に叩き込んだ。

リチャードの顔にも電パンチが吸い込まれていく。

一瞬後、彼らは互いに逆方向に吹き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がって、同時に止まった。

「何だ……!」

リチャードはしかし、そこで引きつった声を発した。

「感覚がない……!」

「お前の体は、九十二パーセントが生体機械化されたからな。痛覚などはもうないはずだ」

立ち上がり、近づいた城は、リチャードの腕を掴んで無理やり立たせると、雄叫びを上げて彼を投げ飛ばした。

「ジェット投げ!」

「ぐあああ!」

錐揉みに回転しながら、リチャードの巨体が吹き上がる。

しかし彼は、空中で姿勢を整えると、ぐるりと体を反転させて、急降下した勢いで城に向けて足を振り下ろした。

それを受け止めた城が、体ごと滑って十数メートルも後退する。

それでも勢いが止まらず、彼は吹き飛ばされると建物の壁にぶつかり、めり込んで止まった。

「チィ……何て馬鹿力だ……」

「うおおお!」

リチャードは地面を蹴って城に肉薄すると、タックルの要領で彼に肩口からぶつかろうとし……城に、軽く足を払われ、その場を一回転して、頭から地面に叩きつけらた。

「ガァ!」

「血の気が多い馬鹿は嫌いじゃない。ま、初めてにしては上出来だ。根性がある。お前、これから『ガッツ』と名乗れ。ま……『仮面ライダー』として、今後も頼むぜ」

振り下ろされた城の手刀が、リチャードの首筋に吸い込まれる。

彼は抵抗する事もできず、意識を闇に突き落とされた。



血溜まりの池の中で、体液にまみれたガッツが咆哮する。

それはある種の狂気と、絶対的な恐怖を感じさせる光景だった。

「お母さん! お母さああん!」

正彦が、壊れたマリオネットのように地面に横たわり、動かなくなった母親にすがりつく。

ガッツはそれに一切構うことなく、襲いかかる戦闘員達を、次々と屍へと変えていった。

彼の拳には一切迷いがなく。

そして、その拳は正確だった。

特殊警棒を頭に受け、何も感じていないのか、そのまま拳を突き出して相手の頭部を破壊する。

投げ飛ばされた戦闘員が、十数メートルも弧を描いて吹き飛ばされ、地面にドチャリと落ちた。

倒れこんだ別の戦闘員が、胸を巨体に踏み潰されて息絶える。

「やめろ……」

龍一は、その場を一掃しようとしているガッツに向けて叫んだ。

「やめろおお!」

『リューイチ、落ち着いて下さい』

アルズの静止に耳を貸さず、龍一は駆逐を続けるガッツに向けて走りだした。

「相葉!」

V3が怒鳴る。

「お前がしていることは虐殺だ! そんなこと……そんなことはこの俺が許さん!」

声を張り上げ、ガッツに向けて拳を突き出す。

青白く放電する龍一の電パンチを顔面に受け、しかしガッツはピクリとも動かなかった。

彼はわずかに視線を龍一に向けると、ゆっくりと拳を固め……。

『リューイチ! 避けて下さい!』

アルズの声がした次の瞬間、目にも留まらない勢いで龍一の顔面にそれを叩き付けた。

間一髪で龍一は首をひねり、それをかわす。

「効いてないのか!」

「電パンチ……? それにしては軟弱だな」

ガッツはそう呟くと、体を回して、龍一の腕をとった。

そのままのムダが無い勢いで、彼は龍一の体を振り回すように持ち上げ、空中に投げ飛ばした。

「ジェット投げェ!」

「うわああ!」

訳が分からず絶叫した龍一は、錐揉みに回転しながら上空に運ばれ……。

「昇竜……アッパー!」

ガッツの叫びを聞き、自由落下を始めたと思った瞬間、飛び上がった巨体のアッパーカットに顔面を捉えられた。

ダイナマイトでも至近距離で爆発したかのような衝撃が龍一を襲った。

『サイキックフィールド、全開にします!』

アルズの切羽詰まった声。

龍一は吹き飛ばされると、地面をゴロゴロと転がり、力なくその場に崩れ落ちた。

『装甲三まで破られました。残存サイキックエナジー、二十パーセントを切りました。戦線離脱を提案します』

「てめぇ……」

ギリ……と歯を噛むと、龍一はよろめきながら立ち上がった。

体中の骨が砕けたように、力が入らない。

視界がぐるぐる回っていた。

「相葉、落ち着け!」

風見がそこで駆け寄り、龍一を羽交い締めにして止めた。

「風見さん……どうして!」

「見たことがある……あれは国連軍の仮面ライダーだ。敵ではない」

「でも……でも市民が!」

「戦闘員に改造されて脳改造を受けたら、もう元には戻らない! そんなことも分からないのか!」

耳元で風見に怒鳴られ、龍一は言葉を飲み込んで、戦闘員を「破壊」し続けるガッツを睨んだ。

ガッツは周囲の戦闘員を全て駆逐すると、足元の血溜まりをバシャッ、と踏みしめて、泣き叫ぶ正彦に大股で近づいた。

そこで龍一は、風見の腕を振り払い、ガッツと正彦の間に立ちふさがった。

「どけ、日本野郎(ジャップ)……模造品の実験体が、俺の任務の邪魔をするな」

静かにガッツに言われ、しかし龍一はそこを動かなかった。

「嫌だね……どこのどいつか知らないが、俺はあんたのことを好きになれそうにない」

「奇遇だな。俺も任務の邪魔をする奴は嫌いでね」

ガッツは手を伸ばし、龍一の肩を掴んだ。

「どけ」

しかし彼は、本能的な動きで飛び退った。

今までガッツの顔があった場所を、いつの間に生成したのか、龍一が右腕に突き立ったサイキックブレードで凪いだのだった。

かすったのか、ガッツのメットの頬の部分がザックリ切れている。

「ほう……」

ガッツは呟いて、キックボクシングの型をとった。

「いい殺気だ。ボーイ」

「二人共、争っている場合ではない」

そこで風見が、更に二人の間に割って入った。

気勢を削がれた形になったガッツが、しかし構えを解かないまま押し殺した声で言う。

「仮面ライダーV3……お前も俺の任務の邪魔をするか」

「そのつもりはない。こちらに、国連軍と敵対する意思はない。だが……」

風見は緑色の複眼を強く光らせ、言った。

「その子供は、被害者だ。一般人のな。危害を加えようというなら、俺も相手になろう」

「……チッ」

舌打ちして、ガッツが一歩下がる。

「脳改造は受けていないのか?」

問いかけられ、風見は頷いた。

「そのようだ。そして、V3ホッパーが先ほど探知したが……ここから五キロ程離れた場所で、生き残りの市民がヨロイ元帥に襲われている。俺達は、そこに向かわなければいけない。あんたはどうする?」

「何だって……?」

龍一は青くなって声を上げた。

「ヨロイ元帥の狙いは、俺達じゃなかったのか?」

「奴は残忍で卑劣極まりない男だ。俺達を呼び寄せるつもりなのか、それまでの暇つぶしのつもりなのか……」

風見はギリ……と歯を噛んで、足を踏み出した。

「いずれにせよ、奴は倒さなければいけない!」

「ふん……」

ガッツは鼻を鳴らすと、ベルトのバックルについたパネルを指で操作した。

「俺一人で十分だ」

離れた場所から、バイクのエンジン音が聞こえた。

ガレキを踏み越え、どこからか無人のバイクが、猛スピードでこちらに向けて突進してきたのだった。

思わず身構えた龍一達の目前でそれは止まった。

黒光りする車体に、巨大なエンジンが特徴的の、大きなバイクだった。

ガッツはそれに乗り込むと、バイクに取り付けられたパネルも操作して、龍一と風見に一瞥も暮れずに走りだした。

たちまちその姿がガレキの向こう側に消える。

「くそっ……」

拳を固めた龍一の肩を掴んで自分の方を向かせ、風見は押し殺した声で言った。

「あの国連ライダーの判断は正しい。戦闘員として襲ってきたら、倒すしかない」

「でも、親ですよ! あの子の! 目の前でやることは……」

「それでも、やるしかないんだ」

龍一の肩を掴んだ風見の手に力がこもる。

それを見て、龍一は言葉を止めた。

「俺達も行くぞ」

風見はそう言って

「ハリケーン!」

と続けて叫んだ。

先ほどのガッツのマシンのように、青と赤のラインが特徴的なバイクが、自立走行で現れた。

「行くぞ、相葉」

「は……はい!」

ハリケーン号にまたがった風見の後ろに龍一も乗り込む。

「待って!」

そこで二人は後ろから叫ぶように声を投げつけられ、動きを止めた。

正彦が、落ちていたナイフを手に取り、砕けんばかりに歯を噛み締めて、二人を睨みつけていたのだった。

「僕も……連れてって!」



「国連軍の仮面ライダーか……くくく……面白い」

バイクを降りたガッツを見て、ヨロイ元帥は掴んでいた生き残りの上層市民、その男性を、ゴミのように脇に放り投げた。

悲鳴とともに勢い良く吹き飛んだ男性が、頭からガレキになった建物の壁にぶつかり、動かなくなる。

辺りには据えた悪臭が漂っていた。

人間の血の臭いだった。

見るも無残に八つ裂きにされた人、人、人。

ガッツはそれを見て、キックボクシングの構えを取りながら、ゆっくりとヨロイ元帥に近づいた。

「……何故上層市民をこんなに殺した?」

静かに問いかけられ、ヨロイ元帥は意外そうに目を開くと、喉を鳴らして笑った。

「何故? 愚問だなァ」

「…………」

「恐怖だよ! 全てはそれで成り立っている!」

マントを翻して、彼は叫んだ。

「見せしめだ! これは『処刑』なのだ! 恐怖によりこの愚民共を支配しなければ、これから先、『選ばれざる者』は到底生きてはいけないだろう! 私は逃走という裏切りを取ったこの愚民共に、然るべきしつけをしているに過ぎない!」

「成る程。聞きしに勝る下衆だな」

ガッツは地面を蹴り、一瞬でヨロイ元帥に肉薄した。

「何……」

呟いたヨロイ元帥の胸に、風を切り唸りを上げたガッツの豪腕が吸い込まれる。

ドキュッ、と鈍い音がして、ヨロイ元帥の鎧、その胸部分が粉々にカチ割れた。

その衝撃のまま、鈍重な彼の体が数メートルも吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がる。

「チィ……何て馬鹿力だ……!」

「お前と話すことはもうない。この世から完全消滅(デリート)してやる」

ガッツの赤い複眼が、更に強く輝く。

それを見て、ヨロイ元帥は面白そうに笑い、身を屈めて唸った。

その背中がバリリと割れ、中から昆虫の脱皮のように、赤い甲殻が現れた。

「何をしている! 走れ! できるだけ遠くに!」

呆然として硬直していた、生き残りの市民達にガッツが怒鳴る。

蜘蛛の子を散らすように逃げはじめた市民達から視線を離したガッツが次に見たのは、赤い閃光となって自分に肉薄した、巨大なザリガニのような怪人の姿だった。

左腕の巨大な鋏で、ザリガニ怪人……変身したヨロイ元帥はガッツの首を掴むと、重機のような勢いで地面を蹴った。

そのまま近くのガレキに、ガッツの背中から突っ込む。

放射状に衝撃痕が、ガレキとなったビルの壁面に広がった。

「ぐああ!」

「戦闘中にヨソ見をしていいと、お前の軍ではそう教えているのか?」

嘲るようにそう言い、ヨロイ元帥は右腕を振り上げ、ガッツの腹部に突き刺した。

半ばまで腕がめり込み、そこからバチバチと放電が漏れる。

「ぐっ……」

うめいたガッツの腹に空いた穴に、何度もヨロイ元帥は腕を叩きつけた。

そして中からケーブルのようなものを引きずり出し、ブチブチと音を立てて引きちぎる。

「生きたまま解体してくれる!」

「ライダァァ! スラッシュ!」

ヨロイ元帥の声を打ち消さんばかりの大声で叫んだ龍一が、おどり上がった空中から落下の勢いそのままに、腕のサイキックブレードでヨロイ元帥の左腕を凪いだ。

ヨロイ元帥の肘から鋏が両断され、ガッツの首が自由になる。

「ぎゃああ!」

絶叫を上げ、なくなった左腕をかばうようによろめいたヨロイ元帥の目に、こちらに向けて突進してくるバイク――ハリケーン号の姿が映った。

それに跳ね飛ばされ、彼は少し離れたガレキの壁にぶつかって、ズルズルと崩れ落ちた。

「大丈夫か! 国連のライダー!」

風見が駆け寄り、腹から放電しているガッツを助け起こす。

ハリケーン号がひとりでに動きを変え、風見の隣に停まった。

上には正彦が乗っている。

「ヨロイ元帥! いや! ザリガーナ!」

風見は声を張り上げ、立ち上がったヨロイ元帥を指さした。

「絶対に許さん! 二度と立ち上がれんよう、完全に息の音を止めてくれる!」

「くくく……仮面ライダーV3。元はといえばお前と戦いたかったために、私はお前は死んだと偽装したのだ。その悲願が、こんな形で実現するとはな……!」

「何だと……!」

「ふふ……気をつけたほうがいい。私の腕を切り離して悦に入っているようだが……」

ヨロイ元帥は残った右腕で龍一を指した。

「私の体は、爆発する」

「いかん!」

風見が叫んで、ハリケーン号の上の正彦を掴んで、影に身を屈めた。

次の瞬間、ヨロイ元帥の左腕が大爆発を上げた。

轟音と爆風が辺りを吹き荒れる。

状況が判断できず、また、突然の爆音でアルズの声も聞こえなくなった龍一の目に、炎をかいくぐってヨロイ元帥が突進してくるのが映った。

「死ねィ!」

繰り出された彼の右腕を、龍一はすんでのところで、梅花の型で受け流した。

そして右腕のサイキックブーレドを振り下ろす。

しかしヨロイ元帥は、背中の甲羅でそれを受け……斬撃を受けた甲羅が、その部分だけ大爆発を上げた。

「うああああ!」

悲鳴を上げて、龍一は吹き飛び、ゴロゴロと地面を転がった。

ヨロイ元帥は少し距離をとると、甲羅に手をやり、その一部をむしりとった。

「仮面ライダー! これで終わりだ!」

轟音を上げて、ヨロイ元帥はむしりとった甲羅の破片を、正彦に向けて投げつけた。

風見が舌打ちをして正彦を庇うように体を丸め……。

大爆発が起こった。

「風見さん!」

起き上がった龍一が叫ぶ。

しかし、炎の中から現れたのは、仁王のように立ったガッツの姿だった。

腹から放電して、先ほどの大爆発をその身で受けたのか、所々焦げて、スーツが燃えている部分もある。

「全ッ然……」

しかしガッツは重く、響く声で言った。

「効かねぇなァ!」

「何ィ!」

ヨロイ元帥が初めて狼狽したような声を出す。

ガッツが再度地面を蹴り、彼に肉薄して拳を繰り出す。

甲羅に拳が当たった場所が大爆発を起こす。

しかし、ガッツは吹き飛ばされそうになりながらも、何度も何度もヨロイ元帥を殴りつけた。

地面に叩きつけられたヨロイ元帥が、背中の甲羅の一部をむしりとり、飛びかかってきたガッツに豪速で投げつける。

空中で爆発したガッツが、さすがに耐え切れずに吹き飛ばされ、龍一の隣を転がった。

「あんた……」

龍一は、それでも平然と起き上がったガッツを見て言葉を飲む。

そして二人は、同時にヨロイ元帥に向けて戦闘の構えをとった。

「俺達が道を開きます! 風見さんはトドメを!」

「ジャップライダー! 行くぞ!」

龍一とガッツが叫んで、二人一緒に地面を蹴る。

「スゥゥパァア!」

龍一の腕のサイキックブレードが、真っ赤に発光し始めた。

「ライダァァ! スラァァァッシュ!」

袈裟斬りに切り裂かれたヨロイ元帥の傷口が大爆発を上げる。

その炎をかいくぐって、ガッツが何度も拳を叩き込んだ。

「百烈拳! 死ねええ!」

その度に爆発するが、ガッツの姿は揺るがなかった。

ついに拳が顔面を捉え、空中に跳ね上げる。

「ヨロイ元帥! これで最後だ!」

風見が叫んで、空に向けて天高く飛び上がった。

「V3! 赤熱ゥ!」

彼の右足が真っ赤に輝く。

右足に内蔵された小型原子炉が、その力を最大まで放出しているのだ。

「回転! ドリルキィィィック!」

高速で回転しながら、風見……いや、仮面ライダーV3は、ヨロイ元帥を空中で粉々に吹き飛ばし、向こう側に抜けた。

空中で、辺りを昼かと見間違うほどの大爆発が広がった。



ジャパンシティ地下の、怪人生産プラントが、轟音を立てて爆発した。

先ほど国連軍が到着し、発破をかけて爆破したのだ。

朝日が昇ろうとしていた。

崩れ落ちるジャパンシティ上層タワーを見ながら、変身が解けた龍一は、アルズ端末を手に、その場にへたり込んだ。

体中が痛み、力が入らない。

風見は、プラントの方に向かっていて姿が見えない。

黒いヘルメットに黒いボディスーツの国連軍と、大量のジープにスラム街は囲まれていた。

そこで龍一は、即席テントの中から正彦の声がしたのに気づき、慌ててそのテントに駆け寄った。

「僕に触らないで!」

国連軍の白衣を着た医師の手を振り払い、正彦は必死に叫んでいた。

「僕に近寄るな!」

「……正彦」

龍一が声をかけようとした時だった。

「そこで喚いて我儘を言えば、ママが生き返ってきてくれるとでも思ったか、ボーイ」

後ろから重い声が投げかけられ、龍一は慌てて振り返った。

テントの入り口に、身長ニメートルは超えている巨漢が立っていた。

腹に包帯をぐるぐる巻きにしていて、上半身は裸だ。

短く刈り上げた金髪。

彫りの深い顔。

そして……その体を見た時、龍一は言葉を失った。

傷、傷、傷。

傷だらけだった。

「お前は……!」

テントの中から、正彦が押し殺した声を発する。

「俺の名前はガッツ。NATOの特殊機甲大隊所属、機動打撃中隊中隊長、ガッツ中尉だ。今日からお前の保護者になる」

正彦に向けて、ガッツと名乗った男はそう言った。

少年は少しの間呆然とすると、獣のように雄叫びを上げた。

そしてどこに隠し持っていたのか、サバイバルナイフを手に取り、テントを駆け抜けてガッツに向かって全体重をかけてぶつかった。

ガッツは、特に抵抗らしい素振りは見せなかった。

太ももにサバイバルナイフがめりこんでいた。

荒く息をつく正彦の前にしゃがみこんで、ガッツは低い声と、感情を感じさせない顔で言った。

「どうした? ボーイ。そんなところをいくら刺しても俺は死なない」

太ももからナイフを抜き、彼は正彦にそれを握らせた。

「俺の心臓はここだ。よく狙え」

左胸を指先でトン、と叩く。

正彦は歯を噛むと、また叫び声を上げてガッツにナイフを突き立てた。

それは半ばまで胸にめり込んだが、力が足りなかったのか、途中までしか刺さらなかったようだった。

「……初めてにしてはいい殺気だ。そして覚えておけ。死んだ者はもう元には戻らん。胸の中でしか生きていないんだ」

ガッツはそう言うと、手を上げて、トン、と正彦の首筋を叩いた。

一瞬で気を失った少年を抱きかかえ、テントから出てきた医師に引き渡す。

「お前……」

身を乗り出した龍一の前で、ガッツは胸に刺さったナイフを抜いて投げ捨てると、鼻を鳴らした。

「お前か……実験体だな」

「さっきの仮面ライダーか……? 実験体って……」

『リューイチ、避けて下さい!』

アルズの声が辺りに響く。

ガッツが左足を思い切り振り上げたのだった。

それに、先ほどの正彦のように首筋を直撃され、龍一は地面に叩きつけられた。

そのまま意識を失った龍一を見下ろし、ガッツはポケットから取り出した磁石のようなものを、アルズ端末にカチッとはめた。

『何をス……ス……スル……ノ…………デ…………ブツッ』

抵抗しようとしたアルズの声が、端末のライトが消えると共に小さくなって聞こえなくなる。

龍一を担ぎ上げ、ガッツは燃え盛り崩壊するジャパンシティを見上げた。



「そうか……龍一は国連軍に連れ去られたか……」

「すみません……俺がついていながら……」

藤兵衛の前で、五十代ほどの壮年男性……端正な顔立ちをした、小綺麗な男、風見が言う。

ハリケーン号にまたがった彼に、藤兵衛はため息をついて続けた。

「あいつのことは、俺が何とかする。今回は来てくれて助かった。だが……」

一瞬言いよどみ、藤兵衛は続けた。

「お前には、引き続き『隼人』のことを頼みたい」

「……分かっています。一文字さんを救えるのは、俺しかいませんから」

「すまない。損な役回りばかり押し付けてしまってな……」

ウェスタンハットを目深にかぶり直した藤兵衛に、風見は小さく笑ってヘルメットを被った。

「言いっこなしです。でも……驚きました。まさか『完成』しているなんて……」

「ああ、俺も驚いた……」

「相葉のことなら大丈夫です。あいつは、仮面ライダー11号。俺達仮面ライダーの、一番弟子なんですから」

「…………そうだな」

フッと小さく笑い、藤兵衛は呟くように言った。

「そうだと……いいんだがな」



第5話に続く!!!

バックナンバーは「こちら」から! もしくはサイドバーのリンクからどうぞ!



▼ポチしておくれやす!▼

君が押したポチは~ ネットの海の中~♪
空に消えてった~ ランクアップ花火~(*´ω`*)


▼クリック クリックゥ!▼

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://mikenameko.blog.fc2.com/tb.php/16-c9ad49c2

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

ブログランキング

↓ランクアップします! クリッククリックゥ↓



エロイムエッサイム~ エロイムエッサイム~
我は求め 一日一回ポチッたりぃ~

 

管理人に何でも質問!



 

周囲の皆様

 

旧ブログリンク

アクセスカウンター

 

最新記事

カテゴリ

連載小説 仮面ライダーアルズ

連載小説 マインドスイーパー


第1話 劣等感の階段 前編後編
第2話 血の雨の降る景色 前編後編
第3話 蜘蛛の城 前編後編
第4話 蝶々の鳴く丘で 前編後編
第5話 シロイセカイ 前編後編
第6話 奴隷マーケット 前編後編
第7話 ジグザグパズル 前編後編
第8話 あの時計塔を探せ 前編後編
第9話 name 前編後編
第10話 風の先に見えた 前編後編
第11話 晴れた空に浮かぶ 前編後編
第12話 スカイフィッシュ 前編後編
第13話 涙 前編後編

※旧ブログに飛びます。

 

Twitterの呟き

 

最新コメント

皆様の更新状況

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

 

QR

 

権利表記

 

このページでは
株式会社スクウェア・エニックスを代表とする
共同著作者が権利を所有する画像を
利用しております。
当該画像の転載・配布は禁止いたします。

(C)2012-2014
ARMOR PROJECT/
BIRD STUDIO/
SQUARE ENIX All Rights Reserved

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。